田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(304)今年も感動、看護エピソード
フローレンス・ナイチンゲールの誕生日5月12日は「国際看護師の日」で各国でさまざまな行事が行われています。1990年からは日本も「看護の日」とし、この日を含む日曜日から土曜日を「看護週間」と決めています。今年は12日から18日までです。
恒例の「忘れられない看護エピソード」表彰式が11日にありました。看護をテーマにした短い作文に2629通の応募があり、看護職と一般部門、各10作品が入選しました。今年も特別審査委員の内館牧子さん (脚本家)の講評が感動的でした。
内館さんは前日にひどい不整脈に襲われ、人の肩を借りて日本看護協会の会場に着いたとのことでした。また、骨折経験なども加え、医療現場での看護師の仕事ぶり、患者との会話の奥深さを強調されました。重い病気を心配してしつこく聞いた時、「さすがに作家はすごい想像をされますね」と笑いとばされて気が楽になったそうです。
一般部門の最優秀賞は「お母さん」。山形県の女性は、2度の死産時に看護師から何度も「お母さん」と呼ばれて違和感があったが、ようやく赤ちゃんが生まれ、同じ看護師から「3人目のお子さん、女の子ですよ、お母さん」といわれて泣いた15年前の話でした。内館さんは看護師のセンスをほめました。最優秀賞に次ぐ内館牧子賞「真っ白なジグソーパズル」はPTSD(心的外傷後ストレス障害)の女性が恐怖心で号泣した時の看護師の言葉「泣きたいときに泣かなかったらいつ泣くんですか。苦しかったら泣くもの」にも、同様の評価でした。
看護職部門の最優秀賞「部屋の模様替え合戦」は「まだできる」と言い張る元教師の患者が歩けるよう何度もベッドをトイレに近づけます。患者のプライドに合わせる看護師の見事な対応ぶりです。内館牧子賞の「坊主頭とドライヤー」は作者と同じ看護師になった息子の話です。作者が乳がんで抗がん剤治療を受ける時、「暑いから」と息子がさりげなく坊主頭になったこと、髪の毛が抜けた時に高価なヘアドライヤーを買ってくれ、今、それが役立っています。「息子さんは素晴らしい看護師になるでしょう」と内館さんは感想を述べていました。
どの作品の看護師さんも素敵です。