田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(299)ポリオ根絶の活動に敬服
日本では過去の病気になっているポリオを思い出させられました。世の中ではさまざまな活動があり、それを支援する国会議員が集まる会としていくつもの議員連盟ができています。3月26日に衆議院第二議員会館で開かれたのは「ユニセフ議員連盟」「世界の子どもたちのためにポリオ根絶を目指す議員連盟」合同の会でした。
ユニセフ本部でポリオチームの山口郁子・上席アドバイザーらがポリオの現状や取り組みを報告しました。ポリオは人から人へと移る感染症で、腸内で増えるウイルスが原因です。かつては「小児マヒ」の別名で恐れられましたが、一部は中枢神経が障害され、下半身マヒになるケースがあります。ワクチンの普及でいまもポリオの常在国とされているのはアフガニスタンとパキスタンの2カ国だけ。ナイジェリアは3年近く患者ゼロが続き、天然痘に続く2つ目の感染症根絶が目前です。ワクチン接種のため冷蔵庫もない地域の個々の集落を担当職員が回ります。30年間のこうした活動で1800万人もの感染が防げたと考えられています。
国際協力機構の戸田隆夫・上級審議役によると、ポリオ根絶のためには栄養や衛生などより広い改善協力が重要です。日本政府はパキスタンとナイジェリアに事業費を貸し付けていますが、財政難で返済が難しい両国に代わり、ゲイツ財団が補填を約束しているとの
話も初めて知りました。
まれに生ワクチンの弱毒ウイルスからの感染があります。欧米より不活化ワクチンの導入が遅れた日本でもかなりの感染患者があり、会では代表が発言しました。40代のこの男性は当初は脳性マヒと診断され、その後も長く別の病気と思われていたそうです。自然の
ポリオがなくなり、医師が診断できなくなったのは困ったことです。
世界中で毎日、多くの団体が感染を防ぎ、病気を根絶するための活動をされていることに頭が下がります。国会議員の活動は是々非々ですが、そうした団体の支援や国の予算措置への配慮は意義あることだと思います。