田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(291)あまりにも無責任な大人たち
新聞やテレビで報じられている最近のニュースはどれも無責任、いい加減で、最初は腹がたち、最後はあきれはててしまいます。千葉県野田市の小学4年生、10歳の女の子が父親に殺されたという事件ではかわいそう過ぎて、つい涙が出てしまいました。
全国各地で起きている学校でのいじめ調査のアンケートに、彼女は実名で「お父さんから暴力を受けています」「先生、どうにかできませんか」などと父親の虐待を“告発”、ストレートに助けを求めていました。
学校は市教委に報告し、彼女は児童相談所の一時保護を受けたようです。そこまではまあいいとしても、その後が信じられません。学校や市教委は父親の要求に対し、アンケートの内容を伝えたうえ、そのコピーまで渡していました。それが暴力を拍車をかけ、幼い生命を失う重大な結果につながったわけです。
学校の先生方の感度に問題はなかったのでしょうか。アンケートは学校内の児童・生徒同士のいじめを知るのが目的で、親や他校の生徒からのいじめは対象外といった感覚はなかったのでしょうか。担任始め学校の先生がどう動いたのかが不明です。児童相談所に連絡してお終い、では明らかに不十分です。
父親にすごまれて内容を教えたのもひどい話です。そんな親だと子どもの危険が増すのは当然です。内部告発を受けた担当者が告発された当人に「○○さんがあなたを××だと告発してますよ」と教えた事件を思い出します。学校も市教委も児童相談所も、本来は子どもを守るべき周りの大人たちが突き放したわけです。
テレビでは専門家が、背景に人手不足があると擁護していました。同じ市で次々と子どもが亡くなっているわけではないし、個々のケースへの対応には緊急度の判断も欠かせません。どの職の大人にも子どもを大事にする、守ってあげなければ、という気持ちが乏しかったということなのでしょう。