医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2018年11月26日

(282)ゴーン会長の逮捕は驚きでした

 最近一番のびっくりは、カルロス・ゴーン日産自動車会長(解任されて現在は元会長、ですが)の逮捕でした。11月19日に東京地検特捜部が逮捕した理由が有価証券報告書の虚偽記載とのことです。うーん。虚偽記載は検事を含む官僚は犯罪にはならないが、仲間でない民間人は許されないんだな、などと妙な納得をしているうちにニュースの内容が少しずつ詳しくなってきました。
 メインは報酬のごまかしのようです。最初の容疑は、報酬は2010年から14年度で約100億円でしたが、報告書では半額の年約10億円と記載されていました。
 ゴーン会長は危機にあった日産を建て直した功労者です。しかし、私の一番の記憶は億を超す高額報酬でした。欧米では普通、との主張が、日本の企業経営者の報酬を一挙に高額化させ、一方では派遣社員の増加、貧富の差の拡大とつながりました。
 建て直し、の基本は職員を減らし、あらゆる経費削減、下請けを整理するコストカットでした。日本人では難しい古い取引先、昔の功労職員、日本社会の慣習などを外国人経営者だから整理できました。その対価、だけに何億円もの報酬は、当時から違和感がありました。それが過少なごまかしだった、というのはさらなる驚きです。
 続報では、仕事の実態の無い姉に年1000万円超の報酬を払っていたり、数軒の自宅の支払いなど、会長経費の乱費ぶりはなかなかのものです。
 思い出すのはかつての日本の中小企業オーナーです。生活費はすべて会社持ち、自宅も別荘も会社が提供、親族兄弟に名目的な役職を付けて高給を払ったりしました。欧米の経営者の高額報酬は日本のような癒着がないから、と経済面で読んだ気がします。
 欲張りはどこにもいるのか、ゴーン会長はレバノン人だから日本人に近かったのか、それとも周りの日産幹部がごますりからそれを勧めたのでしょうか。日産の内部通報から発覚した「司法取引」対象事件、というからその可能性もあります。そもそもこんなに大がかりなごまかしをほとんどの幹部が知らなかったとは信じ難いことです。
 日本の代表的企業の品質検査ごまかしが次々に明るみに出ました。まさか、高額報酬で話題になる企業経営者は、本当は2倍、3倍の収入があり、日産と同様に有価証券報告書の虚偽記載が普通でした、などという結果にはならないでしょうね。

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