医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2013年9月2日

(26)無責任な概算要求


 来年度予算の概算要求が出そろったとの報道がありました。各省庁がこうしたい、ああしたい、それにはこれだけかかるとの原案を出し、財務省との駆け引きで来年度予算案が決まるわけです。それによると要求総額は過去最大の99兆2000億円とかです。
 心配なのは何年も前から赤字と借金財政がいわれていることです。2013年度の国の支出は92兆6000億円ほど。わかりやすくこれを1000万分の1にすると926万円。毎年これだけ使えるのは結構リッチな家庭です。普通なら収入は1000万円はありそうです。
 さて、日本国家庭はどうでしょうか。何と、給料は431万円で、雑収入を含めても収入はたった472万円です。454万円を借金でまかなっています。それも何年もずっと同じような状態です。
 支出を見てみます。新たに借金をしながらその利子に222万円支払います。また、お手伝いさんの給料のような地方交付税が163万円。これらを引くと実際に使えるのは 541万円です。内訳では、食費や光熱費などの生活費といえそうな医療・年金などの社会保障費に291万円、子どもの学費にあたる教育・科学に53万円、家の修繕費かなという公共事業費に52万円、どこかの警備保障システムに似た防衛費が47万円といったところです。
 これは大変だ、借金を減らして家計を健全化しようと奥さんのパート時間を増やして収入アップをというのが消費税です。ところがどうでしょうか。何日か前の報道に自民党の族議員が復活し、特定業界のために働きを強めているとありました。消費税が期待できるからと、生活費も公共事業も防衛費も補助金も増やすというのが概算要求です。
 家計を改善するには支出を大幅に削らなければなりません。圧倒的に多い生活費にもむだが多いはずです。義務のお手伝いさんはそのままとしても、子どもは私学より公立へ、家の修繕も必要最小限にし、警備システムは解約したいところです。
 いつの間にか日本は「たかり社会」「無責任社会」になっています。企業も政治家も官僚も、いま税金を自分に回し、将来は知らない主義です。本当はどの省庁も不急不要な仕事を即座に返上し、人員も縮小すべきと私は思っています。

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