田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(227)与党の逆転劇、さすがに強い
大型台風のおかげで日本中が雨、という悪天のもとでの総選挙でした。安倍首相の読みが当たったというべきか、与党の圧勝です。各紙の世論調査で与党の勝利が報じられていたこともあって意外感は少ないものの、改めて、これから日本はどうなっていくのかな、と考えてしまいます。
当選の顔ぶれや票数を見ると、自民党議員の場合、森友・加計学園絡み、問題発言、不祥事、など国会で批判されたような言動が地元ではほとんど影響していないようです。言いたい放題に近い安倍晋三首相や菅義偉・官房長官、恥ずかしい閣僚答弁だった稲田朋美・元防衛大臣、汚職疑いの甘利明・元経済再生大臣、みなさん圧勝です。辛勝したのは金田勝年・元法務大臣ぐらいでしょうか。
いずれも当選回数を重ね、地盤、後援会組織が確立していたからです。いや、だから地元民以外の世論など無関係に好き勝手できる、といえるのでしょう。それには小選挙区制度が大いに寄与しています。
小選挙区は大政党、現職、与党に有利な選挙制度です。政党重視の名目で、党幹部に権限が集中し、比例代表制の併用で幹部が落選しない仕組みも取られています。地域が狭い分、候補者の制定には、世襲や有力者の意向が反映しやすくなります。
この制度、たしか採用時には、選挙費用が減って政治家の汚職がなくなる、民意を反映した政権交代が容易、と強調されました。たしかに欧米では、国民の怒りを買った与党議員がばたばたと落選、政権崩壊した例がいくつかありました。しかし、地元と癒着度の高い日本は果してどうでしょうか。小選挙区導入へ論陣を張った朝日新聞の著名な政治部編集委員が「だまされた」と話していたのを覚えています。
それにしても、今回は安倍政権の見事な見事な逆転劇でした。不可解な前原誠司・民進党代表と小池百合子・希望の党代表の動きのおかげですが、まさか、憲法改正に賛成の3人が描いたシナリオ通りだった、なんてことではないでしょうね。