田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(226)悲しくなります、日本人の劣化
いつのまにか、日本人はうそつきで、ごまかすことも当たり前になってしまったようですね。10月8日、神戸製鋼所の不祥事が発覚しました。アルミや銅製品をお客企業が要望する強度などの品質を偽って納入していた、というのです。同社の主力製品で、トヨタ自動車や三菱重工業のジェット機用など200社にも及ぶ、というのだから驚きます。製造していた3工場と子会社の管理職を含む数十人が関与していた、文字通りの会社グループぐるみのうそ、ごまかしです。
新聞各紙の続報で内容が判明するほどに範囲が広がっています。自動車大手7社、三菱重工業の国産ロケット、新幹線、米国ボーイングの航空機、エアコン、さらには防衛装備品、ミサイルや装甲車などにも使われたらしいのです。アルミ・銅から鉄粉や合金でも検査データを作ったり、書き換えたりしていました。そんなニュースは覚えていませんが、昨年 6月には孫会社が 9年間も日本工業規格(JIS)を満たしていない、ばね用ステンレス鋼線の試験値を改ざんして規格品として販売していたことが発覚しています。
神戸製鋼の被害者でもある日産自動車には無資格検査問題がありました。 9月29日、国土交通省審査・リコール課は日産6工場の完成検査を有資格社員でなく無資格の検査補助員が行っていたことを明らかにしました。しかも、検査したのは有資格者名になっていたとのことですから、ごまかしの意図は明らかです。
三菱自動車が日産傘下に入るきっかけになった燃費事件をはじめ、化血研、東洋ゴムなど昨年、一昨年も途切れず、日本を代表する企業のごまかしが発覚しています。神戸製鋼所事件でニューヨーク・タイムズ紙は「日本のイメージに打撃」と大きく報じました。
一方、神戸製鋼所の副社長は会見で「法令に抵触したわけではない」と弁明したそうです。それなら契約書や誓約書、公的場での発言、不特定多数への発信などのうそ、ごまかし禁止法を制定すべきではないでしょうか。
話題に出したら、すぐに仲間から反論を浴びてしまいました。
「バカ。そんな法律作ったら、社長も、閣僚も、省庁幹部も、選挙中の議員もほとんど逮捕されてしまうじゃないか」。うーん。