田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(224)危機のなか、あれよあれよの解散
突然、話が持ち上がったかと思ったら、あっという間に衆議院の解散、総選挙になりました。最初の動きは 9月17日付けの各新聞報道からでした。『産経』が「首相衆院解散を決断」と報じ、「首相、年内解散を検討」(『朝日』)「早期解散強まる」(『日本経済』)「年内解散へ準備本格化」(『東京』)と観測記事が並びました。それからの政治の流れは、昨今の集中豪雨による濁流、氾濫を思わせます。
安倍首相が「28日招集の臨時国会の冒頭での解散」を発表したのは9月25日の会見でした。同じ日に小池百合子・東京都知事が新党「希望の党」を設立し、発表しました。9月28日、解散された当日、民進党の前原誠司・代表が「希望の党」への合流を提案して了承されました。民進党議員は希望の党の審査にパスして立候補できるというのですから、事実上、吸収されたようなものです。
自民党とさほど違いがなさそうな前原代表が大差で選ばれたのにも驚きました。ひょっとすると左派に近い議員を排除するかも、と思ったら、自分の手を汚さないためか小池さんに丸投げです。さすらいの小池さんだってついこの間まで自民党でした。なるほど、日本も右派の2大政党時代、と先進の米国に近づくわけです。
安倍首相は森友、加計学園問題での追及が耐えられなかったのでしょう。「これまで通り、ていねいに説明していく」方針のようです。その首相はこのごろ、「人づくり革命」「生産性革命」と「革命」を連発し、強調しています。ひょっとして、すべて筋書き通りの「右派革命」だったりして。
あらゆる人づくりのなかで一番遅れているのが、政治家です。常識や品格がなくても、当選さえすれば、議員・政治家です。親の権力や地盤を引き継ぐ、あるいはウソ八百、ごまかし、脅し、でも。後は何でもし放題。
そうそう、北朝鮮・米国もたいして違いはありませんでした。金委員長、トランプ大統領、信頼できないトップ同士の口げんかも気になります。北朝鮮の核開発が止まる可能性は少ないので、米国の先制攻撃の懸念もあります。とはいえ、トランプ大統領の11月3日からの日本・韓国・中国訪問までは現状が続きそう。まさか、戦禍の朝鮮半島視察旅行ではないでしょうね。