田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(212)健康県首位キープ快挙の長野
厚生労働省は2015年の年齢調整死亡率を半月前の 6月14日に発表しました。5年に1度まとめている国民の健康度の指標です。都道府県別のデータが出るため、健康県のランキングとしても関心が持たれています。一番よかったのは男女とも長野県、悪かったのは青森県でした。厚生労働省のまとめたデータを見ながら、なぜそうなったのか、原因は何かなどと考えてみました。
ワースト5県は、男性は・青森・秋田・岩手・和歌山・鳥取、女性は・青森・福島・茨城・栃木・和歌山、の順でした。秋田、岩手の女性は7位と6位、福島、茨城、栃木の男性はいずれも10位以内で、男女同レベルといえます。比較的男女差が大きかったのは女性が34位だった鳥取でした。
日本人の代表的な病気は、がん、心臓病、脳卒中、肺炎ですが、青森は男女ともがんは全国1位の高率で、脳卒中、肺炎も男性1位、女性は3位、4位です。秋田はがん、脳卒中、岩手は脳卒中がトップ級で、男性の心臓病が全国2位でした。
健康の最大の鍵は食事を中心とした生活習慣とわかっています。東北3県は塩分の取りすぎからの高血圧がいわれましたが、青森は脳卒中のほか、胃・肺・大腸のがんが多いのは不思議です。一方、宮城は女性はよい方からの7位、男性は11位の優良県でした。同じ東北でも食の内容は県により違ってきているようです。鳥取の女性はがんなどの病気が男性より少なめでした。
ベスト5県は男性は・長野・滋賀・奈良・福井・京都、女性が・長野・島根・岡山・熊本・滋賀でした。長野を除くと、薄味で、魚や海の幸を得やすい関西・中国地区です。関西で悪い和歌山は肺・大腸がんと心臓病、大阪はがん、肺炎が目立ちました。
長野は男性のがん、男女の肺炎とも全国1少なく、女性のがんは第2位の少なさです。首都大学東京の星旦二名誉教授は、長野は、きれいな水と空気に恵まれ、高齢者の就労率が高く、住民活動が活発でつきあいが多い。病床や介護施設も多くなく、ピンピンコロリ(PPK)が実現できている、とおっしゃっていました。