医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2013年7月25日

(21)選挙で吹く風は

 政治の大きな焦点になっていた7月21日投票の参議院議員選挙の結果が出ました。自民党の圧勝、民主党の惨敗は、新聞やテレビの予想報道の通り。報道に反応し、少しは揺り戻しがあるのでは、との期待も外れました。
 31の1人区では岩手、沖縄を除いて29人が当選。岩手は民主党系ながら無所属、沖縄は沖縄大衆党で、民主党公認候補は全敗というから深刻です。6 年前の2007年は29選挙区中、民主の公認・推薦で当選が23人。ふつうの風ではなく、台風並みの「逆風」です。
 複数の政党が1つの議席を争う選挙区では支持基盤の高い政党が有利です。その基礎票に、時々の風がプラスすれば楽々当選、大きくマイナスすれば落選になります。衆議院の小選挙区制度の導入の理由がたしか、民意を反映しやすくし、政権交代しやすい、といったように思います。民意というのは本来は政策への賛否、前職なら活動ぶりでしょうが、それ以上に大きいのが、たまたま選挙時に吹いている風、のような気がします。
 風の一番のもとは幹部の言動でしょうか。民主党政権は鳩山首相が「基地の沖縄県外移設」を何度も確約しながらあっさり翻意し、ひんしゅくを買いました。お小遣い問題もありました。次の菅首相は小沢氏の処遇と原発事故処理で間違ったと思います。昨年末の衆議院選、今回の参議院選の台風は、候補者個人の努力を吹き飛ばしてしまいました。
 政治家というのはいい商売のようです。もうかり、チヤホヤされ、有名になり、こわもてします。私が取材する新人議員さんたちも年を追って自信満々になっています。幹部の自信過剰が判断の失敗を生み、逆風を生むのです。それはそうと、プラス風のアベノミクスは策士が作り出した人工的な風だったかも知れません。
 1人区は風を一番受けるうえ、多くの死票を生みます。1 政党が圧勝し、強引な政治がやがて逆風を生み、別政党が圧勝というジグザグ政治になりやすい、風任せの制度は改革の余地がありそうです。     

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