田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(207)うそ、でたらめがこんなに多いとは
政界というところは本当にうそ、でたらめの世界ですね。森友学園に次いで出てきた加計学園の話です。
5月17日付け『朝日新聞』は加計学園が国家戦略特区である愛媛県今治市に獣医学部を新設するのに際し、官邸の特別な意向が働いたことは確実とする特ダネを載せました。もともと文部科学省は獣医学部の新設は不要との方針でしたが、政府はこの特区だけは新設を許可、しかも学園の理事長は安倍首相の永年の友人であることから、特別な忖度 (そんたく) の疑い例として指摘がありました。それを証明する記録文書が同省にあった、とのニュースです。さらに 5月25日付けでは、今年1月に辞任した前川喜平・前事務次官の「文科省内で作られた文書」「行政がゆがめられた」とするインタビュー記事も掲載、前川氏は翌日、記者会見に応じました。
興味深いのはその反響です。
松野文科相は省内での調査から「文書の存在は確認できなかった」とくり返しました。しかも、それ以上の調査の必要性はがんとして認めようとしません。菅官房長官は「文書の出所は不明で信ぴょう性も欠けている」「行政がゆがめられたの指摘はあたらない」、竹下・自民党国対委員長は「証人喚問は必要ない。話としては面白いが、政治の本質に何の関係もない」といった談話です。さらに、菅長官は、前川氏が出会い系バーに出入りしていたとか、天下り問題での辞任した際も、実は職にしがみつこうとしていた、などと個人攻撃までして、変人を強調、影響を薄めようとしています。
政治家が正直、高潔であると信じている国民はあまりいませんが、それにしても昨今のレベル低下はひどい、と思います。不完全な調査でお茶をにごしておいて、「確認できなかった」は常套手段としても、新たな証言が出たのに無視するのですから。
森友学園の土地格安払い下げ事件では、政治家に逆らえず、支離滅裂ないいわけに終始する財務省局長らの姿はとても悲惨でした。もっとも、証人喚問や正直答弁がなくても、すでに国民の多くは、何が、なぜ起きているのかは分かってしまっていますけれど。