医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2013年7月16日

(20)医療をどう変えるかのアイデア

 著名な心臓外科医である南和友先生の編著書『日本の医療危機の真実』 (時事通信社) が先月末に出版されました。一読し、多くの点で同感しました。日本の医療制度の問題点は明らかで、すぐにも変えられることが利害関係者がじゃましていつまでも変わらない、といった状況が浮かび上がってきます。
 南さんは30年間もドイツで活躍しました。2005年、大規模な心臓外科センターを任せる約束で日本大学教授に招かれながら計画は流れ、2011年に群馬県の北関東循環器病院院長に転身しました。その南先生といろんな専門家が対談するラジオNIKKEIの番組をもとにした本です。専門家は16人で実は私もその1人でした。
 「ドイツでは勤務医の医師会があり、労働条件を守らせている」「日本もホームドクター、かかりつけ医師が必要」(南さん)、「専門医より総合医が必要」 「メディカルスクールで、今の医師養成制度を変えたい」 (福井次矢・聖路加国際病院院長) 、「日本は専門医数が多すぎ、1人の手術数が少なすぎて、技術が低い」(南さん、藤堂省・北海道大学特認教授、福島孝徳・米デューク大学教授)、「日本は自称専門医レベル」(信友浩市・九州大学名誉教授)、「新米もベテランも同じ医療費、技術無視など、医療費の決め方がおかしい」「救急車は有料にすべし」(村井隆三・おなかクリニック院長)、「患者もパソコンでカルテを見れるのがよい」「病院の質が日本ではほとんど分からない」(J・ウォーカー・亀田総合病院特命副院長)、「開業医制度で分かるように日本では医師=経営者、という利益相反が起きている」(田島和郎・東海大学名誉教授)など。
 ちなみに私は「日本の医療は質がバラバラ。救急医療のたらい回しが30年も続いているのは恥ずかしい。医師は目の前の患者さんを治そうという意気が乏しく、治す技術を習おうという医師が少ない」と、指摘しました。

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