医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2017年3月13日

(196)ポリオの会で意外な出会い

 昨日の3月12日、私は東京都北区で開かれた「ポリオの会」総会に参加しました。新聞記者時代、いろんな患者団体を取材しましたが、退職し、フリー記者になると、いつの間にか大部分は疎遠になってしまいました。10数団体は今も会報などを送ってくれますが、その1つが、ポリオの会です。そうだ、代表の小山万理子さんにお礼を言っておこうと急に思い立ちました。会が終わった後がいいと思い、後半にそっとのぞいてみました。
 会場に入った時に、講師の女性、リハビリ医の高柳友子さんと目が合いました。彼女はすぐに「朝日新聞記者の田辺さんがいらっしゃいました。私の母は色覚差別問題に取り組んでいますが、それをずっと支援して下さった方です」と紹介してくれました。
 友子さんは日本介助犬協会の事務局長。障害者の暮らしを助ける介助犬を養成し、普及を図る協会の中心役です。そしてお母さんは眼科医の高柳泰世さん。開業して学校医となった泰世さんは毎年、色覚検査があり、異常と判定された子どもは一律に進学も規制されていることを知りました。1985年に大学の入学制限調査から一貫して色覚問題に献身してきました。日本以外に学校で色覚検査をしている国はありません。
 小山さんが改めて私を紹介してくれました。ポリオ後症候群はポリオにかかった人が何十年も経ってから筋力低下や痛みを訴える病気です。その1人の小山さんは1995年に『朝日新聞』声欄に仲間を求める文章を書き、それで会ができました。その時、会作りを支援してくれた専門医から「載せてもらうにはコネが必要」と私を紹介されたというのです。多数の投書から担当者が採用を決めますが、知っている話は載りやすく、知らない話は敬遠します。森友学園に限らず、日本は昔からどこもコネ次第、だったのです。
 思いがけず挨拶の機会をいただいて、私は、患者のためになる医療を広げる意図で報道してきたこと、日本では良いとわかっていても実現しないことが多く、実現させるために患者が思いや不満をもっとメディアに伝えるべきと強調しました。
 でも、気がかりは肝心のメディアの使命感の衰弱です。トランプ大統領や安倍首相に負けっ放しでは情けないですよね。

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