田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(192)どうなる、ホットな国有地払い下げ事件
同じ国有地が近隣の10分の1で払い下げられ、しかも財務省が売却額を非公表にしているという事件が明るみに出ました。買ったのは憲法改正を求める日本会議の役員が理事長を務める学校法人。何とその名誉校長が、首相夫人の安倍昭恵さん、というのだから、できすぎの感じです。『朝日新聞』の東京本社版では、2月9日付け第2社会面3段という地味な扱いですが、どうやら同紙のスクープのようです。これほどのスキャンダル。政治面からも報道面からも注目必至です。
大阪府豊中市の土地は約8800平方メートルで、2013年に近畿財務局が売却先を公募し、昨年6月、大阪市内で幼稚園を経営する学校法人「森友学園」が購入しました。今春、神道に基づく小学校が開校する予定とのことです。
おかしいのは異常な低価格です。財務局は10年に隣接地を公園用地として約9500平方メートルを豊中市に約14億円で売っていました。ところが、同学園へはほとんど同面積なのに1億4000万円ということです。しかも、同学園の前に約7億円を提示した学校を財務局は「価格が安い」と拒否したというのです。これだけそろうと、本来公開されるべき払い下げ価格が「購入先の要望で」非公表になるのも無理ないな、と笑えてきます。
2月11日の続報では、財務局はその土地には廃材や生活ゴミが埋まっており、その撤去費用を差し引いた分、安くなったと説明しています。財務局がそうした事情に常に配慮してきたのか、その費用額は妥当か、などの問題も出てきています。
国有地の払い下げ疑惑は昔からくり返されています。政治家や役人は国有財産を勝手気ままに処分し、税金はいろんな名目で配分、仲間たちや自分たちの利益を確保します。しかし、表面化するのはたいていはずっと後になってからで、真相は解明されないまま時間切れで終わっています。珍しくホットな時点で発覚した今回、報道のがんばりや国民の反応に期待、です。