医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2016年11月14日

(180)よくぞ当選しました、トランプさん

 米国大統領選開票日の11月9日。昼過ぎ、家を出る時のニュースでは「ドナルド・トランプ候補予想外の善戦」「ヒラリー・クリントン候補苦戦」でしたが、夕方にはトランプ候補の当選が確実になっていました。私は、トランプ候補が勝てば面白いけれど、確定的な下馬評から、無理だろうな、とも思っていました。
 トランプ候補が勝ったのは、貧しい白人層、しかも中・高年層の支持があったからといわれます。一方のクリントン候補は非白人層、女性のほか、富裕層の厚い支持がありました。オバマ大統領の政策の継承者として既成権力層もクリントン支持でした。
 トランプ候補は日本だったら絶対に勝てなかったはずです。数々の暴言や極論があり、メディアで真っ向から非難を受けました。移民を締め出す壁、女性スキャンダル、きたない言葉でのクリントン候補攻撃などから浮かぶのは、品行のよくない、非常識で嘘つきのとんでもない男です。
 しかし、米国人の約半数がその彼に投票しました。これが一番の驚きです。貧富の差がどんどん拡大し、生活も苦しくなっているのに、クリントン候補をはじめ既成の政治家は対応してくれない。既成の政治への不信、不満が、メディアの描いた悪人イメージを超えたということになります。思い切った改革への強い期待です。
 それに比べて日本国民は実に穏健です。貧富の差が拡大し、貧困者が増えているにもかかわらず、代々の議員一族や、それを支える官僚組織を一貫して支持し続けています。メディア報道への疑いも米国ほどはないようです。
 さて、安倍首相は早くから心配していたようですが、クリントン大統領を確信していた日本の権力層は、まさかの新政権とのつながりはほとんど持っていないようです。実際にスタートすればトランプさんも常識的に戻るとの予測や期待もありますが、さてさてどうでしょうか。日米関係はどうなるのか、日本の権力層の利権が従来通り守られるのかどうか。無責任な傍観者には面白い時代になりそうです。

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