田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(176)白紙領収書が常識の政治風土
驚くことが多い世の中、国会議員の「白紙領収書」問題が飛び出しました。10月6日の参議院予算委員会で日本共産党の小池晃議員が、菅義偉・官房長官と稲田朋美・防衛大臣の複数の領収書コピーを示し、「筆跡が同じだ」と指摘しました。これに対し、菅長官、稲田大臣とも、日付や金額を事務所側で記入したことを認めました。
小池議員によると、菅長官の場合、3年分で270枚、1875万円分の金額はすべて同一人が書き込んでいました。問題はその言い訳です。菅長官は「受付が混乱し、パーティの円滑な運営に支障をきたすので、面識のある事務所同士では主催者の了解のもとで白紙領収書を出し、参加者側が内容を記載することがある」「私の事務所でも、実際の日付、宛て先、金額を正確に記載し、政治資金収支報告書として提出している。政治資金規正法上は問題ないと思っている」と答弁しました。小池議員は「面識があったら後で金額を書いていいなら、中小企業の社長同士はみな面識がある。これだったら、本当にそのお金を払ったかどうか証明できない」と追及すると、菅長官は「政治資金規正法には発行者側の作成法についての規定はなく、問題はない」「支出の水増しは一切行っていない」などと続けました。
領収書とは受け取った側が日付や金額を記入して初めて成立します。白紙や、別人が勝手に記入したものは領収書でないのは明らかです。当たり前だから規定がないわけです。もともと怪しい稲田大臣と違い、菅長官は安倍内閣の重要閣僚で、スポークスマンとして毎日のように会見しており、国際的には日本の内閣の看板です。このやり取りが欧米に報道され、日本の領収書は実はこうだ、と知られれば大変なことではないでしょうか。
富山市議会や富山県議会で、ねつ造や改ざん領収書で政務活動費を詐取したと、何人もの議員が辞職しました。国会でも白紙領収書が常態化していたとなれば、地域に限らず日本の政治風土そのものの問題です。
自民党は今後は白紙領収書をなくす「運用改善」を通達し、この問題にケリをつけようとしています。水増しの証拠がないからか、水増しがわかっても国会議員は市議会議員より偉いから許されるのか、菅長官は議員辞職しそうにありませんね。