医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2016年8月29日

(169)ホームドアの設置を最優先に

 私は京王線沿線に住んでいるので、京王線の新宿駅、乗り換えにはJR新宿駅をよく使います。JR線ホームはいつもかなりの混雑ですが、とくに中央線、山手線、総武線などのホームでは時々、白い杖の視覚障害者が1人で歩いているのを見かけます。ホームの端近くを足早に歩きます。ちょっと目をつぶって見て、ああ自分にはとても無理な神業だ、と感心していました。
 やっぱり危ないのだ、と思ったのは、8月15日夕方、盲導犬を連れた男性が線路に転落し、亡くなったと報じられたからです。続報によると、国土交通省の調べでは2009年度からの6年間で駅のホームからの転落したり、列車と接触した事故は、視覚障害者に限っても428件で、年70件ほどもあるそうです。もっとも、事故は酔っぱらいを始め、障害のない人が圧倒的に多くて視覚障害者はその50分の1程度。東京視覚障害者協会によると、亡くなった視覚障害者は1994年以降、年に2人強の24人でした。
 山手線で視覚障害者がホームから転落する2011年の事故がきっかけで、同省は鉄道会社に利用者の多い駅でのホームドアの設置などを要望しました。現時点では、1日に10万人以上が利用する全国251駅の設置率も約3割にとどまっています。
 視覚障害者に限らず、酔った人、高齢者、子どもなども事故に巻き込まれる可能性があります。私が都心に往復する京王線ホームには、ホームドアがあって、やはり安心感があります。安全のためにはせめて大きな駅にはホームドアの設置を義務づけるべきです。期限のない要望では結局は延び延びになってしまいます。そのための補助金なら国民は理解できるでしょう。
 いつか書きたいと思いますが、政府かお役人は、結構インチキ分野の中小企業や法人が新規事業を始めやすいようにと、補助金をばらまいています。時には裕福な大企業にも、いろんな名目をつけては補助金を出しています。不動産や関連事業でもうけ、運賃では赤字に近くしている大鉄道会社は別として、本当に苦しんでいる鉄道会社には補助金を増額してもいいと思います。

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