医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2016年5月30日

(156)サミット、オバマ礼賛に違和感

 先週の新聞、テレビは、G7サミットと、オバマ米大統領の広島訪問を、これでもか、これでもかと取り上げました。政治や外交、経済には弱い医療記者も、まったく無関心というわけではいられない感じです。
 サミットは欧米の首脳に日本の首相が加わって経済情勢などを論じる会議です。とはいえ、正味はせいぜい1日。しかも、宣言の中身はおつきの人たちが何日も前から話し合って落とし所を決めたもの。基本的な考え方が必ずしも共通でない首脳たちが、わずか何時間か意見を出して、すんなりまとまるはずがありません。
 首脳には国内政治が何より大事です。そこがうまく行かない時は、外交です。他国を訪問したり、外国の首脳を迎えるだけでいかにも重要な役割を果しているように見えるからです。安倍首相は盛んに海外に出かけ、新聞には各国首脳とのツーショット写真があふれていましたが、どこへ行って何をしたか、覚えている人はほとんどいないでしょう。
 サミットも持ち回りで毎年開かれています。昨年、一昨年はどこで開かれ、どんな成果があったかを言える人もほとんどいないはずです。
 オバマ大統領の広島訪問も大騒ぎですが、どんな成果があるのでしょうか。どの国の首脳もパフォーマンスは上手で、素振りは感動的です。ノーベル賞のなかで平和賞は一番いい加減な選び方ですが、オバマ大統領は就任直後になぜか受賞しました。
 オバマ大統領は広島で「戦争の悲惨さ」を語った一方で、シリアやアフガンで空爆を命じ、反体制派幹部だけでなく、市民も殺しています。ビンラディン暗殺時にも思ったことですが、外国にいる過激派幹部を米軍が密かに追いかけ、暗殺する行為は正当なのでしょうか。病院を爆撃しても、誤りだったとして軍の幹部を名目的に処分し、遺憾の談話を出せば一件落着です。ノーベル賞が取り消されないかハラハラします。
 米国などの核保有国は国連の核軍縮会議に反対し、不参加ですが、米国代表は大統領の命令に逆らっているのでしょうか。世の中は不可思議なことばかりです。

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