田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(154)企業モラル、どこまで落ちる?
連休気分の 5月 7日の朝刊 (『朝日新聞』) を読みながら、本当に世の中はどうなっているのかと疑いました。 1面にスクープらしい「羽毛布団 産地偽装か」の記事が載っています。中国産の安い製品を輸入した日本企業が、フランスなどの製品として売っているという話です。国内無名地から特産地、中国産から国産との産地偽装は食品などで当たり前、デパートでもニセブランド品を売る時代で驚かないものの、あらゆる商品に広がっていると思うと考えさせられます。
6面には「化血研事業譲渡 6月ごろまでに」。20年以上も国に届けたのと違う製法で製品を作っていたというから天晴れです。7面は「東芝再生 多難の船出」。名門企業も会計を徹底的にごまかしていました。
31面「三菱の街 下請は苦悩」は発覚したばかりの三菱自動車・燃費ごまかし事件の関連です。フォルクスワーゲンのごまかしに「真面目なドイツ人が」と驚きはしましたが、まさか日本も同類とは思いませんでした。同じ面「羽田滑走路データ改ざん」は東亜建設工業が地震の流動化対策工事で必要薬物量の 5%しか入れずに、国に工事完了の報告をしていたという話です。阪神淡路大震災で一部の高速道路が倒壊したように、地震になって初めて分かる手抜きです。
日本企業の劣化は本当にひどいものです。化血研、三菱自動車、東亜建設工業、たまたまこの日は記事がなかった東洋ゴムなどは、国に偽の報告をし、国はそれをまったく疑っていませんでした。
多くの企業は法を守り、正しい製法をし、適正な報告をしているのに、今回、ごく一部の企業が信頼を裏切った、と思いたいのです。でも、ひょっとたら多くの企業が似たような不正をしており、たまたま話題や調査がその分野に及んでいないのでまだ表面に出ていないだけ、ということはないかと不安になります。
続報で、三菱や東亜の現場は、目的通りにできなかったのに上司が怖くていえなかったといいます。「仕事が全て」の古い世代と違い、若いほど「仕事は二の次」は理解できますが、だから仕事はいい加減・手抜きでいい、となると抵抗があります。