田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(127)どうなったアフガンの病院誤爆
毎日毎日、世界中で戦争が続き、新聞の国際面は空爆や戦闘、難民のニュースであふれ返っています。そのなかで、刺さったトゲのように気になっているのが、アフガニスタン北部での米軍による「国境なき医師団」の病院誤爆事件です。後のノーベル賞などに隠されて日々あいまいになっていった感じです。
空爆があったのは現地時間で10月3日午前2時すぎ。病院には患者や家族1050人と、80人以上の病院スタッフがおり、12人のスタッフを含む20人以上が死亡しました。病院の中心の建物が何度もくり返し破壊されました。
今回の犠牲はたまたまアフガン人ばかりのようですが、病人や負傷者を献身的に診療・介護していた人たちだけに同情を禁じえません。 7日にはオバマ米大統領が同医師団などに誤爆を電話で謝罪しました。
医師団はあらかじめ米軍には正確に病院の位置などは知らせてあったとのことです。司令部から航空機に情報がうまく伝わらなかったのでしょうか。いや、本当に誤爆だったのでしょうか。
「さあ、やっつけるぞ」「近くに病院があるらしい」「そんなのいちいち気にしてたら戦争なんてできないぜ」「病院の中にも敵はいるさ」「運が悪いやつは仕方がない」「行けっ」、といった声が聞こえそうです。いや、イラク・フセイン政権の化学兵器の間違い情報もありました。「どうせホントのことはわかりゃしないのさ」
シリアでもパレスチナでも空爆のたびに多くの住民が巻き添えになっています。健康な人や八百屋の店員は殺してもよいが、病人や医師、看護師はだめ、という論理はそもそもあるのでしょうか。広島や長崎に病院がなかった、とは米軍は思っていなかったはずです。70年経っても変わりえないのが戦争でしょう。
ところで、国境なき医師団は99年、オバマ大統領は就任した09年になぜか突然、ノーベル平和賞を受けました。今回の事件は平和賞同士の争いです。大統領は戦争をなかなかやめられず、テロリストを増やしています。平和賞のインチキさも浮き彫りです。