医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2015年9月2日

(119)沖縄からの真剣な叫び

 8月22日から昨日9月1日まで、沖縄で過ごしました。家内の出身が石垣島で、97歳の母親が存命です。元気なうちに、との思いの帰郷に私も付き合いました。
 反政府的と名指しされた沖縄の2つの地元紙は、この間連日、参議院での安全保障関連法案の論争を大きく報じていました。8月31日には沖縄県議会が、廃案を求める意見書を採択しました。自民・公明が少数の県議会なので政府は無視しそうですが、一連の安保法案は「自衛隊を米国と一体となって戦争に参加させることになる」とし、沖縄の米軍基地が「出撃拠点になるだけでなく武力攻撃の対象となる」懸念を表明しています。巻き添えになるかも知れない、不安です。第2次大戦で4分の1が犠牲になったといわれる沖縄県民の真剣な気持ちを感じました。
 今回の法案が憲法違反の疑いがあると、多くの識者が指摘しています。自衛隊が米軍に協力できる範囲を内閣が決めることができるような状況は危うい限りです。安倍首相は「内閣が代わっても○○はやらない」と議会で約束しましたが、憲法の制約から歴代内閣が否定していた「自衛隊は軍隊」「集団的自衛権」を一夜で一転して認めた内閣ですから、とても信じられません。
 米国の戦費を減らすため日本も協力しよう、という安倍首相の志向はよくわかります。しかし、その米国こそ世界一の戦争国家です。共和党に比べて穏健なはずの民主党ですら、日本人から見ると無理やり戦線を拡大しました。戦争の犠牲が憎しみを産み、新たな戦争の原因になります。米軍との同行や協力が増えるほど、自衛隊が攻撃される機会も増えて、戦争に巻き込まれます。武力では何も得られないことが、何十年経っても戦争国家には理解できないようです。
 いや、武器を手にすると人は使いたくなるといわれます。世界第9位の国防費を持つ自衛隊の幹部も、本音は戦争をしたくてウズウズかも知れません。困った内閣から困った国になりそうで、困ってしまいます。

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