医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2015年6月29日

(110)あまりにひどい政治家と文化人

 ややこしい政治や経済のことは、日頃はあまり考えないようにしています。でも、自民党の若手の国会議員と支持する文化人の、低レベル、あまりのひどさに、今回は唖然というか、呆れ返ってしまいました。
 6月25日に開かれたという勉強会のことです。安倍晋三首相のお友だちである作家の百田尚樹氏が、米軍基地の移設問題で政府に批判的な「沖縄の2つの新聞社はつぶさなあかん」「もともと普天間基地は田んぼの中にあった。そこを選んで住んだのは誰やねん」などと発言しました。それに関して、出席した議員からは「マスコミをこらしめるためには広告収入がなくなるのが一番。経団連に働きかけて欲しい」といった声もあがったというのです。
 メディアの役割は政権に批判的なものも含めた広い大衆の声を届けることです。どんな人間にも勘違い、思い違いがあり、別方向の意見で初めて気づかされるものです。賢いワンマン社長は苦言を呈する側近を重用しますが、愚かなワンマン社長は苦言役を容赦なく辞めさせ、周囲を自分の言いなりになるヒラメ重役で固めます。
 メディアはいわば苦言を呈する側近役ですが、朝日新聞攻撃でわかったように安倍首相は愚かなワンマン社長です。その言動からは、かつてのソ連、現在の中国、北朝鮮のような、道を誤った独裁国家を目指しているとしか思えません。軍事クーデターは真先にテレビ局や新聞社を占領します。独裁者は自分に逆らう言論や人間を滅ぼし、自分への礼賛の声が満ちていないと安心できないのです。
 27日付けの『朝日新聞』は勉強会の主な発言を収録しています。それによると、マスコミの広告収入減らしを主張したのは東京16区の議員でした。また、百田氏は「米兵のレイプ犯罪より沖縄人のレイプ犯罪の方が多い」とも述べていました。捜査権がない、犯人がわかっても逮捕できない米兵犯罪への沖縄人の気持ちを無視しています。主催する自民党の青年局長は「百田氏は信念に基づいて発信し、国民に受け入れられている。われわれ政治家が学ばなきゃいけない」と話したといいます。
 東京16区の選挙民も国民も、メディアも、今回の貴重な勉強会から多くを学ばなきゃいけません。                    

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