医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2013年5月7日

(10)国民会議の議論に大きな期待

 政府の社会保障制度改革国民会議の議論が注目を集めています。先月下旬の論点整理ではほとんどの報道は国民健康保険をいまの市町村単位から都道府県単位にすることが中心でしたが、『読売新聞』は、それ以外の論点も紹介、とてもよかったと思います。
 福祉や医療にくわしい有識者の議論だけに最終的な提言が楽しみです。法律により、政府はその方向に沿っての法的措置を講じることになってはいますが、改革はもちろん一朝一夕には不可能です。関係者の反対が強い場合はどうするか、大きな予算が必要なものはどうするか、など、さまざまな事情で延び延びになり、いつの間にか棚上げになってしまう、などという、いつものようなことにならなければいいが、と思っています。
 国民健康保険は何年も前からほとんど崩壊しています。保険制度はできるだけ大きい方が安定します。そもそも同じ給付なのに保険料は市町村によって計算式が違い、額も数倍の違いがあるという不合理が何十年も是正されなかったことが不思議です。都道府県単位でも不十分なくらいで、できれば全国一本化、本当は赤字体質の協会健保との一本化も考えるべきかも知れません。
 病院まかせ、医師まかせでなく、救急医療など地域医療計画を策定するというのも重要なテーマです。会議ではこれも都道府県単位と考えていますが、救急のたらい回しなどはそもそも、救急医療(病院)と救急搬送(消防)に分かれていることに大きな原因があります。国全体の取り組みも必要だと思います。
 病気だと本人が思えば、どの病院へも、何カ所もの病院へもかかれるフリーアクセス制度も、医療者の過重労働と、むだな医療費を生み出しています。かかりつけ医や家庭医制度は望ましいのですが、幅広い知識の開業医がそんなにいるとはとても思えません。「家で寝ていなさい」と指示した患者さんが急変したような時は訴訟になりそうです。「大事をとって」病院へ紹介すれば、医療費が増えるだけ、という結果もありえます。
 会議では紹介状なしの病院受診に1回1万円という案も出た、とのことです。抑制効果はありそうですが、病状でなくお金だけでの振り分けは乱暴すぎる感じもします。

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