田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(3)よき医療者はどう育つのか?
埼玉県毛呂山町の日本医療科学大学に先週、初めてお邪魔しました。専門学校から大学になって 6年目。保健医療学部で5つの医療職を養成しています。旧知の平井紀光・医療工学科学科長から、先生方の勉強会で話すよう依頼されました。タイトルは「医療者はどう育つ?どう育てる?」です。
私はまず、自己紹介をしました。朝日新聞社の記者を2008年まで40年務め、しかも、その大部分が医療専門記者でした。単発のニュース報道もしましたが、好んで新しいテーマの連載をしました。1981年には「こんにちわ 医療を支える人々」で、理学療法士、放射線診療技師など20の医療職を紹介しています。
私は「日本の医療は本当はよくない」ことを説明しました。医療保険制度は料金以外は無計画、無管理で、質や内容を問うシステムがありません。病院や医師に丸投げされていて、質はバラバラです。患者中心であるべき医療が、日本では医師中心、医師まかせの医療になっています。
外から見ると、医療界はとても封建的で権威主義です。大学・公的病院から開業医、教授から医局員、医師と、看護師・薬剤師・その他の医療職などに序列があります。封建社会では権威者がいったことが絶対視され、結果として科学的でないものが少なくありません。私は以前、そうした項目を「ふしぎの国の医療」のタイトルで連載しました。
さて、技術が進み、もはや医師、あるいは医師・看護師だけで十分な医療はできなくなっています。チーム医療の時代です。専門技術や知識を持つ医療者が多く参画するほど医療は患者中心に回帰します。私は、よい医療者を育てることこそ、日本の医療をよくする近道と強調しました。
人間性、温かさ、会話力、親しみ、明るさ…。学生がそんな医療者を志し、自ら育っていくために必要なことはいろいろありそうです。この日、私が話せたのは、当たり前、平凡なことでしたが。