田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(204)憲法や刑法の話、なかなか難しいが
5月3日は憲法記念日。ということで、どの新聞にも憲法からみの記事があふれています。それに負けず大きなスペースを占めているのが、国会で議論が集中した刑法「組織犯罪処罰法」 (共謀罪) です。つきあい上、私も記事を読みますが、基本的な知識があまりないせいか、とても難しく感じました。
安倍首相は改憲派の集会のビデオメッセージで、2020年までに憲法改正をしたい、との意思表示をしました。それも憲法第9条に、自衛隊を明記する、というのです。憲法9条は敗戦を経験した日本が平和主義に転換した象徴的な条文です。日本国民は「国権の発動たる戦争」「武力による威嚇、行使」は、国際紛争の解決手段として放棄するとし、「陸海空軍その他の戦力」は保持せず、「国の交戦権」を認めない、としています。
ところで、自衛隊は「戦力でない」というのが政府の見解です。条文では自衛権は否定されておらず、自衛のための最小限度は戦力ではないから、というのです。
世界でも10位以内の予算を誇る自衛隊が最小限度内なら、パレスチナやイスラム国、民族ゲリラは規模でいえばおそらく戦力ではないでしょう。一方、自衛隊が参加・協力している国連軍や米国軍は戦争で国際紛争を解決しようとしていることは明らかです。
日本国民の多くが、自衛隊は軍隊でない、と信じているのも不思議ですが、憲法9条に「自衛隊は上記戦力に当たらない」といった条文が加われば、世界の人々はもっと不思議がるでしょう。それにしても改正派の人たちは最終的にはどう変えたいのでしょうか。
共謀罪の最大の気がかりは司法の公平・正義が全くいい加減だからです。冤罪の多さ、内容のひどさそのままに、警察や検察や政府の判断だけで「テロ組織」と疑われるようでは問題です。戦前に復帰か、の恐れも皆無とはいえません。
私は現在の警察の捜査、たとえば逮捕状が裁判官の判断だけで認められているのも問題だと思います。検事、裁判官、弁護士は司法試験の仲間同士です。検察審査会を強化するなど司法外の目がもっと必要と思います。共謀罪はもちろんです。