田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(201)最大の衝撃、千葉の児童殺害事件
千葉県松戸市のベトナム人小学生リンちゃんを殺した疑いで4月14日、近所の46歳男性が逮捕されました。何より驚いたのは、この男性が学童の通学見守りを受け持つ小学校保護者会の会長だったということです。自供も得られていない段階ですが、ニュースは地元だけでなく、全国に大きな衝撃を与えました。この日たまたま家で休んでいた私は、ほとんど1日中、少しでも新しい事実がわかっていないかといろんなテレビ局にチャンネルを合わせ続けました。こんなこと、本当に珍しい。
最初、犯人は日本人だろうかと疑問でした。ベトナムから来て日本社会に溶け込もうと努力している若い夫婦を日本人が傷つけるなど考えたくなかったからです。しかし、日本人、とくに若者は見境なく他人はもちろん、親族、親までも切り付けるのが昨今の流行のようですから、ひょっとしてとの懸念はありました。
それが40代、しかも子どもたちみんなが知る保護者会会長とは。これからは見守り役の監視も必要になる、とは驚きです。事件後、入学式で挨拶し、日本に戻るベトナム人夫婦の旅費寄付の呼びかけ人になるなど、天をも恐れぬ行動です。
いろんなことが頭に浮かびます。今回は地元の著名人なので仕方ないとはいえますが、逮捕の報道で家族はもみくちゃになり、居られなくなります。軽微な事件、時には冤罪もあります。海外では実名報道を避けようとの動きが活発ですが、日本は実名原則。男性の2人の子どもの明日、将来が心配です。
男性は絶対に発覚しないと確信していたのでしょうか。逮捕まで時間がかかったのは、警察、とくに幹部は「まさかあの人が」と信じられなかったからかも知れません。警察はいつも客観的でなく、色眼鏡で人を見ます。
記者時代、担当外でしたが、学校教育、家庭教育の記事にはしばしば違和感がありました。とくに教職員組合、教育委員会は子どもや教育の中身はそっちのけでの対決で、報道も追随していました。40代は私たちの子ども世代。責任を感じてしまいます。
そうした日本社会が、リンちゃんの親をはじめベトナムの人たちにどう映ったのでしょうか。とても悲しいです。