田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(194)ますます奇怪な国有地払い下げ事件
前々回に注目した大阪府豊中市の国有地払い下げ事件、連日の国会質問でさらに奇妙な事実が浮かび上がってきています。お役人や麻生財務相の答弁は無責任すぎます。
近隣の土地の10分の1の超安値で払い下げられた理由は、廃材や生活ゴミの処理費用を差し引いたからとのことです。職員がきちんと確認したといいながら、民進党議員の質問に近畿財務局はタジタジでした。ゴミの種類、量も確認せず、丼勘定で8億円も値引きし、後は買い主の学校法人「森友学園」まかせ。実際、学園はごく一部しか処理をせず、大部分は埋まったままのよう。それも想定のうえでの値引きサービスに見えます。しかも、話し合いの記録は売買契約の成立で廃棄したとの弁明です。保存義務なしとの説明でしたが、その後を考えずに交渉記録を廃棄していたら、トラブルになれば必敗です。この件だけ販売価格の非公表と同様、悪質な隠蔽工作、と取られてもやむを得ないことです。
問題の土地に「森友学園」は異様な形の小学校舎を建築中です。まだ大阪府の最終認可が下りていないのに、ホームページでは「認可された」と書き、名誉校長の安倍首相夫人をだしに寄付を募っていました。首相ともども学校を評価するとの趣旨の夫人の挨拶も載っていました。
小学校は当初は「安倍晋三記念小学校」と名付ける予定で、短期間はそれも寄付要請文に書かれていました。安倍首相は同学園が経営する幼稚園を訪れたこともないと断言しましたが、理事長は来ていただいたと書いています。小学校は神道に基づき、天皇制や教育勅語を重視する異質な学校で、幼稚園も似た教育をしています。幼稚園では父母とのトラブルが何件かあるそうです。
安倍首相は「何度も断ったのに」「しつこい人」といいながら、テレビ画面ではさほど怒っているようには見えませんでした。堂々とうそを書き、いかに首相夫妻の信頼を得ているかを財務省に信じさせて値引きさせ、結果的に首相を窮地に陥れるような人が、なる程、日本では教育者と認められるのだ、と感心しました。いや、うそがダメなら役人も政治家も成り立たない、ということかも知れません。