田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(99)介護は当面は外国人頼みに
最近、介護に関するニュースが続いています。まずは、介護保険で支払われる介護報酬が今年度から減額されました。全体で2.27%の引き下げということです。
介護保険制度の給付費は、スタートした2000年度の3兆6000億円から14年度は10兆円に達しました。それに伴い、保険料は年々増えています。65歳以上の保険料は市区町村単位で決められますが、今年4月からは大阪市の6758円を始め、月額6000円を超える政令指定都市や県庁所在都市が増えています。まったく介護を受けていない人も負担する額ですから、かなりの額です。何とかその傾向を抑えたいとの介護報酬の減額は理解できます。
一方では、介護職員不足です。労働がきついうえに、給料の低いことが離職の最大の原因です。介護職員の平均月収22万円は、全産業平均の32万円を大きく下回っています。
政府、財務省にそうした認識がないわけではありません。介護職員処遇改善交付金を増額し、介護職員の給料アップを実行する施設には補助します。介護費用全体を削りながらの政策がどれだけ有効か、が注目されています。
さて、中国やアジア諸国からの実習生を受け入れ、日本の技術を学んでもらう技能実習制度というのがあります。現在は3年の期間から5年に延ばし、介護も含める法改正が進んでいます。日本人が嫌う下働きを格安の労働力で補おうとの目的が見え見えの制度で、群がった企業が給料を払わなかったり、半ば監禁状態だったりと、さまざまなインチキの横行が報道されてきました。
これら一連の報道から浮き上がってくるのは、外国人による介護です。介護職員を増やし、しかも介護費用を抑制するには、より安い外国人労働者の導入しかありません。
二国間の経済連携協定で、介護福祉士の道がインドネシア、フィリピン、ベトナムに開かれています。3年間、施設で実務経験を積んで国家試験に合格すれば介護福祉士の資格が得られ、ずっと日本で働けます。技能実習を実務経験とみなせば、介護福祉士の数を大幅に増やせます。
当面はそれでごまかせるとして、根本的な解決にはならないのはもちろんです。