田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(68) 初の入院体験でした
突然、断りもなくこのコラム、休載してしまいました。ご心配をかけた向きもあったようで、心からおわび申し上げます。
実は、6月22日からつい先日、7月30日まで都心の病院に入院していました。当初は2週間弱の入院の予定だったので、1、2回休めばいい、との思惑でした。
話は職場の健康診断からです。昨年、初めて胃のバリウム検査を受けたことは以前、このコラムでも報告しました。その結果、「胃潰瘍」を指摘されたのですが、まあいいや、そのうち治るだろうとほうっておきました。すると、今年はバリウムではなく、胃の内視鏡検査を勧められました。
本当は気が進まなかったのですが、仕方なく、内視鏡検査を受けました。もちろん初めてです。そうしたら、何と「早期胃がん」を宣告されてしまいました。
正直なところ驚きました。私の家族には、がん患者はいませんでしたし、自分としては食べ物にも結構、注意を払ってきたつもりでした。たばこは10年近く吸ったものの、30年以上も前から禁煙していました。
胃がんは2カ所です。入口の噴門部からすぐ下と、真ん中あたりです。たったそれだけで胃を全部取る、というのはいかにも乱暴です。本当は放射線治療がいいなと思ったのですか、まだまだデータが不十分です。しばらくほうっておこうかとも思ったのですが、実は私の娘夫婦が2人とも外科医なので、取りあってもらえません。
大きく開腹せず、お腹に腹腔鏡という内視鏡の1種を入れて手術する腹腔鏡手術が日本で始まったのが1990年です。少し広がってきた1994年、私は腹腔鏡手術を勧める『先生、私のおなかを切らないで』という本を、朝日新聞社から出版しました。今回はその腹腔鏡手術なので、本の続きのようなものだし、患者体験も悪くはないか、と思って、あきらめる気になったのです。
手術は 6月24日でしたが、その後が「想定外」でした。もともと大腸憩室があって、それが破れそうとか、肺の働きが不十分とかの指摘をされ、結局は39日間の入院になりました。