田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(483)コロナはインフル並みの 5類に
政府の新型コロナ対策本部は1月27日、新型コロナを大型連休明けの5月8日から季節性インフルエンザと同じ感染症法「5類」に落とす方針を決めました。新型コロナは流行が始まった2020年2月から「2類」を上回る「新型インフルエンザ等」の扱いで、自治体などによる就業制限や入院勧告、外出自粛要請などができる代わりに検査や治療費は公費負担となっていました。規制がなくなるのは良いとして、感染拡大や死者増加といった不安もあることからいろいろと議論を呼びそうです。
政策の大幅転換はやはり経済への対応なのでしょう。段階的であっても規制が撤廃されて行けば、家庭や学校、職場、地域などの日常が戻ってきます。飲食店や商店、企業の多くも生き返ります。
問題なのは新型コロナウイルスが居すわっていることです。かつてのスペイン風邪のように症状、強い感染力ともどんどん弱まり、普通の風邪に近づきます。ただし、このウイルスの厄介なところは、無症状の感染者がウイルスを移しうることや、高齢者の持病死の率が高いこと、一部の若い人にだるさや不調が長く続く後遺症が残ることです。
全数把握がなくなって流行の実感は減りますが、三密、マスクなし生活では、感染者が大幅に増え、介護施設や家庭での高齢者死亡が常態化しそうです。
さて医療現場、です。対応できる指定病院等に限られていた特別な感染症が普通の病気になり、普通の外来で受診できます。しかし、従来通りの待合室や病室や看護態勢のままでは最もウイルスの多い場は病院、になりかねません。病院での死亡増加など想像したくないほどの混乱が懸念されます。
政府は重症化しやすいウイルス株の出現などがあれば最終段階で対応を見直すとも説明しています。直前の中止、あるいは数週間後の中止、などといった事態もあり得ます。いや、感染者が増えようと死者が増えようと、政府のせいでなく病気のせいだから仕方がないと考えれば済むことかも知れません。