医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2022年12月20日

(478)信じられない園児虐待

 静岡県裾野市の私立保育園での虐待事件はどう理解したらいいのでしょうか。静岡県警が12月4日に 3人の元女性保育士を逮捕し、発表しました。
 今年9月、3歳の女児が幼稚園の通園バス内に取り残され、熱中症で亡くなったのも静岡県でした。乗っていた6人の園児の1人が残っていたのに運転していた園長ももう1人の職員も気づかなかったずさんさに驚きました。大きな過失でした。
 しかし、今回は明らかな虐待です。1歳児クラスの受持ちだった3人は女児の顔を強く押す▽男児の足をつかんで宙づりにする▽男児の頭を殴った暴行、の疑いで逮捕されました。8月、裾野市に通報があり、市の指導で保育園が調査し、9月に勧奨退職、譴責処分を決めました。その結果、3人は11月までに退職していました。
 報道 (12月5日付け「朝日新聞」) によると、園児の頭をバインダーで叩いて泣かせたり、給食を食べない子の頭を叩いたり、昼食時に怒鳴り、ほおをつねったり、丸めたござで頭を叩いたりの暴力行為は日常的だったようです。特定の子どものズボンを下ろさせたり、ロッカーに入って泣いている子を携帯電話で撮影したり、遅刻した子の腕を引っ張り「遅い」と怒鳴ったり、寝た子を「ご臨終です」、容姿をばかにしたデブ、ブスの暴言など、保育士としての適格性以前に人間性を疑います。
 しかも、この保育園は保育士全員に問題を口外しないよう口止めし、誓約書も書かせていました。人手不足で、不適切な職員でも辞められたら困る、ということがあったのかもしれませんが、保育園全体が子ども無視、保育無視だったようです。そして今朝は、千葉県松戸市の保育所でも暴行があったと報道されました。
入所者を家来、奴隷、玩具と見なして扱う困った職員がいるわけです。ほんの一部ではあろうと思いたいのですが。

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