田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(464)元首相の国葬に賛否両論がありますね
月日の流れの速さには驚きです。もう 9月。今月の国内最大の話題は、何と言っても27日に予定されている安倍・元首相の国葬でしょう。賛否両論、さまざまな観点からの報道があふれています。
歴代最長 8年 8カ月も首相を務めた安倍さんが自民党の最重要人物だったことは間違いありません。しかし、国民全体で悼むべき国葬はどうでしょうか。
事件の容疑者は母親が多額の寄付をさせられ、家族が苦しんだことから旧統一協会を恨んでいました。元首相が協会の協力者と考えて銃撃したわけですが、自民党を中心に多くの政治家が協会とつながっており、元首相は確かにその仲介者、支援者でした。先祖の祟りなどの不安をあおって商品を売る霊感療法で多くの被害者を生んだ団体の支援は尋常ではありません。
友人への便宜を図った森友学園、加計学園へのいわゆるモリカケ疑惑もあります。自民党が求めていた官僚の任免権が実現したことで内閣の権力が強大になり、官僚は国会で虚偽答弁をし、書類を改ざんして疑惑をあいまいにしました。これに絡んで近畿財務局の職員が自殺しています。
首相時代の業績はどうでしょうか。アベノミクスと称して実施した金融緩和政策は円安で輸出企業の利益を増やし、経営者の収入を増やしたものの、国民の賃金は大幅に下落しました。今の円安、物価高も元首相の政策の続きと言えます。
あれこれ考えると、一般国民にとっては元首相はさほどよい政治家だったとは言えず、国葬に反対する人たちが多いのもうなづけます。
元首相は外交には熱心でしたし、コロコロ代わって名前も覚えきれない近年の首相と違って国際的な評価は高く、国葬には海外からの要人多数の参列が見込まれます。せめて警備は万全でなければなりません。