医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2022年8月22日

(463)発達障害のレッテルで苦しむ

 お盆休み、いやお盆・コロナ休み中にはいろんなことを考えさせられました。川や海、交通事故で犠牲になる子どもたちのこともその 1つです。大人がもっと注意して子どもたちを守ってあげなければ、と思います。
  7月31日、東京都国立市で精神科医・野田正彰先生の講演を聴きました。「くにたちの教育を守る市民連絡会」の学習会で、テーマは「発達障害」でした。野田先生は発達障害の決めつけがたくさんの子どもたちの命を奪っていると指摘、具体例として北海道旭川市の少女凍死事件などを取り上げられました。
昨年 3月、雪に被われた公園で、中学 2年生、14歳の少女の凍死体が見つかりました。
彼女は性的な行為を強制されるなど特定グループからの陰惨ないじめを受け、苦しんでいました。いじめの背景には発達障害の診断がありました。
 小学校で生徒が騒がしいので先生が怒り、生徒全員に謝りに来るよう命じました。しかし、彼女だけは「私はしゃべっていない」と頑固に謝りませんでした。先生は「コミュニケーションが取れず、自分の関心にこだわる」のはおかしいと、母親に小児科医の診察を勧めました。発達障害の 1つ「自閉スペクトラム症」と診断された結果、彼女は精神安定剤などを飲むようになりました。
 こうした発達障害の診断、そして薬を使っての治療も間違いだと野田先生は強調しました。 1度レッテルを貼られると子どもたちの人生は無茶苦茶になります。子どもの発達障害も自殺も増えています。子どもを守るべき大人が、学校の先生や医師が、逆に追い詰めているような感じです。
 このブログで「疑惑だらけの発達障害」を書いたのはちょうど 2年前でした。そこで取り上げた市民の人権擁護の会・米田倫康さんの著書『発達障害のウソ』 (扶桑社新書) の帯には「野田正彰氏推薦」とありました。

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