田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(443)勇気ある人たちに敬服
ロシアのウクライナ攻撃が続いています。毎日、テレビで新しく爆破されたビルや市街地の様子、戦車やミサイルなどの兵器の映像、子どもを抱えた母親避難民、高齢の避難民の疲れ切った表情を見ています。そして鋭い目つきで硬い表情のプーチン大統領の嘘っぽい釈明、世の中無茶苦茶です。
そうした中で本当に偉い人たちがいるなと驚きます。一番はロシア国営テレビの編集者の女性です。 3月14日の第一チャンネルのニュースの放送中、「戦争反対」「プロパガンダを信じるな」などのポスターを持ってキャスターの後ろに立ち、「戦争反対」などと叫びました。女性はすでにネットに「ウクライナで起きていることは犯罪で、責任はプーチン大統領にある」などと書き、父がウクライナ人、母がロシア人であることも明らかにしていました。女性は辞表を出し、ネットの文章で罰金を課せられましたが、テレビ登場で実刑に課せられる可能性があります。
国営テレビはもちろんプーチン大統領やウクライナ侵攻を正しいと報道してきており、ロシアの国民の多くは信じています。女性の息子も母親の行動を間違っていると批判しているとのことです。こうした状況の中、処罰されるのを覚悟で「戦争をやめろ」とプラカードを掲げてデモするロシア人が少なくありません。
そしてウクライナの人々。ラジオ局の女性職員は家族ぐるみでウクライナに留まり、苦しむ人々の声を発信していますし、破壊された街や建物の映像を発信しているフリーのカメラマンもいます。また、危険を承知で留まり、取材をしていた数人の海外の報道特派員が亡くなりました。国内に留まってロシアと闘うように求められているウクライナ男性の多くは積極的に戦闘に参加しています。
命がけのこうした活動はどれも本当にすごいことです。自分が同じ立場に置かれた時にそうした活動ができるかどうか、と考え込んでしまいます。
プーチン大統領は数日でキエフ陥落と見ていたのではないでしょうか。EUや米国の対応、世界的な経済制裁などがロシアの事実上の敗戦的幕引きを招きそうです。