田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(440)タバコのポイ捨ては恥ずかしい
最近は駅まで歩く回数が激減しました。病院の診察、本屋さん、ごく稀に催しの参加があります。そんな時は、ついつい下を見ながらゆっくりと歩きます。あった。捨てられたタバコのフィルターが道脇の溝に隠れています。
午前の時間だと、20本、30本と見つかる時があります。それどころか、何かにおいがすると思ったら、10mほど前の男性がタバコを吸いながら歩いています。午後はさすがにめったに見ません。自宅前か周辺をちゃんと掃除している主婦たちがいるようです。
そんなことを気にするようになったのは渡辺文学さん(84)の影響です。禁煙活動家として有名な渡辺さんは、月刊『禁煙ジャーナル』の編集長でもあります。
渡辺さんは2019年 1月、「足元から行動を」と思い立ち、毎朝、住んでいる私鉄駅周辺で吸殻拾いを始めました。留守する日もありますから、満 3年は 954日目で総計 56406本でした。 1日平均59本です。家庭や街頭で捨てられた吸殻は清掃工場で燃やされて大気を汚し、排水溝に捨てられた吸殻は河川を経て海を汚します。渡辺さんは空き缶、空きビン、紙屑、マスクなどの「ポイ捨て防止キャンペーン」やタバコ会社の「吸殻買い取り制度 」などの提案をしていますが、企業の反応はほとんどないとのことです。
吸殻を拾って数を記録する、簡単なようですが毎日となると大変です。それどころか、幅広い禁煙、嫌煙権の活動の数々。偉い人だな、といつも感心しています。
渡辺さんは実は 1日60本のヘビースモーカーでしたが、反公害や環境運動に参加し、タバコの煙も公害だと考えて39歳で禁煙したそうです。私は20本ほどの喫煙者でしたが、29歳の時に長男が生まれました。タバコをくわえながらその子を抱いていると、妻が見るたびにしつこく文句を言うので、禁煙せざるをえなくなりました。
タバコを吸いながら歩き、途中でポイと捨てる。そんな恥ずかしいことをしていないでよかったな、と思っています。