田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(414)異常気象が当たり前になるかも
先週から九州を始めとする全国的な大雨で、各地に被害が出ています。突然に巻き込まれ犠牲になった方は本当にお気の毒。河川の氾濫、土砂くずれ、住宅の床上浸水などテレビの情景に心が痛みます。
8月 9日、国連の気候変動評価組織 (IPCC)が温暖化の科学的根拠に関する第 6次報告書を公表しました。日本を含む各国の研究者が多数の研究論文を分析評価し、議論の末に結論づけました。それによると、熱波、大雨、干ばつなどこれまでになかった極端な異常気象はやはり、人間が大気や海洋、陸地を温暖化させたせいでした。世界の平均気温は21世紀半ばまでは上昇し、二酸化炭素などの排出を大幅に減らさない限り、世界の平均気温は18世紀の産業革命時よりも摂氏1.5 度から2.0 度も高くなります。
各国が努力して温暖化に対抗しようと、第 5次報告書の段階で、有名な「パリ協定」が採択されました。平均気温の上昇を 2.0度未満、できれば1.5 度までに抑えよう、そのために二酸化炭素やメタンなどの排出を大幅に減らそう、という協定でした。温暖化で氷山の氷が溶けると海面が上昇し、島が水没する危険があります。1.5 度はぎりぎりの温度というわけでした。
異常気象による被害は日本だけでなく世界中で深刻になっています。ドイツでの洪水、中国の豪雨、カナダや米国での異常な暑さ、米国やオーストラリア、ギリシャでの山火事と、最近はきりがありません。
人間は温暖化を止められるでしょうか。米国のトランプ前大統領は温暖化を否定し、パリ協定からの脱退を宣言したのを思い出します。自分さえ良ければという独裁者は何人もいそうです。科学者の助言など聞かない政治家、もうけることしか関心がない大富豪、地球の将来などには無関心の若者、何も知らずに石炭をくべている人…。
「2020年代はたいした異常じゃなかったなあ」。そんな日々が来るような気がします。