田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(394)コロナきっかけで医療の改善を
新型コロナのおかげで、多くの医療機関はへとへとです。私が参加する勉強会の 1つは 医療関係者が何人かいて、先日はコロナ診療がテーマでした。
医療費が安いこともあり、患者数が病院の収益に直結しています。コロナの流行で昨春は受診患者が激減、10月にはほぼ元に戻りましたが、小児科、耳鼻咽喉科、眼科などは減ったままです。厚労省はコロナ診療費を増額し、空床確保などの補助金を出したため、コロナ受け入れ病院は収入増ですが、コロナを診ないと減収で経営困難です。
「コロナを診ない病院なら仕方ないでしょ」と、私は思ったのですが、関係者によるとそう単純ではありません。コロナでない患者を診る役割を受け持った病院や、病室の感染対策が困難な小規模病院などです。そういえば、さらに小規模の開業医も減収です。全国保険医団体連合会が国に補填を要望しているのを思い出しました。医療機関の存続は国民にとって最も重要な課題の 1つだと思います。
医療の内容は病院任せ、というのも日本のふしぎな制度です。設備や能力があったのに不採算になるからと経営陣がコロナ拒否した病院もありました。「国の対応が遅すぎたのが一因。多くの病院は赤字覚悟で診療を始めたんです」と、関係者は不安だった時期を振り返っていました。
従来の病院の設備や備品、人手では本格的な感染症に対応できません。感染症専門医や感染症認定看護師も必要で、日頃から感染対策の訓練もしておくべきです。看護師の仕事が複雑、過重になりましたが、現場の指揮者としての認定看護師の活躍が目立ったそうです。院長、看護部長など病院幹部の対応も重要です。
「地域医療として考えると、公的、民間を含め地域の病院全体の役割分担と連携が重要だ」との意見に賛同が集まりました。重症患者を入院させる複数の基幹病院を決め、さらに中等症患者の病院をいくつか、です。コロナの前から医師会や一部の病院が中心になって協力関係を築いている地域があります。また、逆に自治体の仲が悪く、県立病院と市立病院が反目していて連携できない、といった話も出ました。コロナのおかげで日本の医療が大幅改善、とはならないでしょうか。