田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(383)感染者も死者も日本が少ないのは?
新型コロナの感染者、死者が世界中で恐ろしい勢いで増えています。朝刊によると12月 6日現在の感染者は6656万人、死者は 152万人。たった 1日で感染者は63万人、死者が 1万人も増え、欧米では外出禁止、営業禁止が広がっています。
感染者の多いのは・米国1458万人・インド 964・ブラジル 657・ロシア 241・フランス 233・英国・イタリアの順、死者は・米国28.1万人・ブラジル17.6・インド14.0・英国6.1 ・イタリア5.9 、と続きます。
これに対し、日本の感染者16万人、死者 0.2万人は極めて少ない部類です。英国やフランス、イタリアの人口は日本の半分程度ですからすごい違いです。対応が適切だったとの自信からか、今回、政府はGoToトラベル事業をやめそうにはありません。
コロナウイルスは変異しやすいウイルスで、欧米で多いウイルスと日本やアジアのウイルスの強さが違っている可能性が指摘されています。しかし、ウイルス発生国で人口が日本の11倍の中国が感染者 9万人、死者5000人弱とさらに少ないのも不思議で、とてもウイルス株の違いだけとは思えません。
私が参加している「血液を大切にする会」の機関紙に東京農業大学の渡邊昌先生の研究が載っているのに気づき、なるほどと思いました。国立がんセンター研究所の疫学部長もされ、病理学、公衆衛生学、栄養学にも詳しい先生によると、主要19カ国の国民 1人あたりの米消費量の多いインドネシア、韓国、中国、日本などは感染者数が少なく、消費量が少ない欧米国は感染者数が多くなっています。また、アジア 9カ国でも消費量が最も多いミャンマー、ベトナムの感染が一番少なく、後の中国、日本などはずっと多くなっています。最新のデータではインド、インドネシア、フィリピンの感染が高くて外れてきていますが、おおまかな傾向はうかがえます。渡邊先生はその理由として、免疫グロブリンAと米食との関係を示唆されています。
ご飯で新型コロナを抑えられるとしたら、食事もちょっぴり楽しくなります。研究が発展するのも楽しみです。