田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(370) コロナワクチンは安全性確認が重要
正直なところ私は、新型コロナウイルスがこれほど経済や生活環境を深刻化させるとは思ってはいませんでした。ウイルスの病気はたくさんあり、なかにはもっと感染力の強いウイルス、致命的なウイルスもあったのに、何とか収まってきました。
感染規模からいえば、1918 (大正 7) 年からの新型インフルエンザ「スペインかぜ」が突出です。推定では 3年間で世界人口半数の10億人近くが感染し死者2400万人、日本でも2380万人が感染し39万人が亡くなったといわれます。まだ10カ月ですが、新型コロナの日本の感染者は 7万人、うち1300人ほどが亡くなっています。
このスペインかぜに比べて新型コロナは死亡率はほぼ同じで、感染力は格段に弱い感じです。でもこれは、第 1次世界大戦末期のあわただしい時期と、現代のゆとりある自粛生活の違いかも知れません。感染予防に「三密」回避はたしかに有効のようです。
感染者の血中には抗体ができ、普通は再感染しないので、感染者が一定の率になれば流行は収束します。しかし、新型コロナの場合はまだまだ続きそうです。こんな時は何といってもワクチンが頼りなのはたしかです。
その結果、世界中でワクチン開発競争が展開され、報道も過熱気味です。政府は米国のファイザー社と英国のアストラゼネカ社から供給を受ける契約をしたことを発表、数社に開発補助金を出しました。また、中国、ロシア、米国などでは臨床試験に入ったり、試験を簡略化して早期承認する方針を露骨に示したりしています。
日本人は欧米人以上に副作用に敏感といわれます。健康人に予防のため使うワクチンは普通の薬以上に副作用に留意すべきと思います。2002年に中国で出現した旧型コロナともいうべきSARS(サーズ=重症呼吸器症候群)ウイルスはワクチンも開発できないまま収束しました。コロナウイルスは変異しやすいウイルスのようで、すぐに効かなくなる可能性もあります。ワクチンの安易な簡略化試験は疑問で、むしろより多くの人対象にできるだけ長期の臨床試験で効果と安全性を確認すべきです。
それまでの大事なことは、たとえ感染しても早く回復できるよう、体の免疫力、抵抗力を高めることだろうなと思っています。