田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(280)がんばらない介護、に感動
昨日11月11日は介護の日。「がんばらない介護生活を考える会」が主催する講演会など関連イベントが9日、東京・朝日ホールで開かれました。「がんばらない」といえばベストセラーを思い出しますが、その著書、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實先生が委員代表の会です。
さすがに鎌田先生の講演はわかりやすくて感動的でした。先日なくなった女優の樹木希林さんとのツーショット写真を示しながら、乳がんの彼女が病院から前日、自宅に戻り、「死ぬなら自宅で」を実行したように、再発してからの14年間も自分の生きかたを貫いたことを称賛しました。
鎌田先生によると、日本人の要介護の原因は関節・骨・筋肉のフレイル (衰え) が24%で、脳卒中 (17%) 、認知症 (16%) を上回ります。介護を防ぐには・筋肉など・口腔・社会的、の 3つのフレイル予防、つまり①には運動、②には歌やおしゃべり、③は閉じこもらない生活です。
その実例として、名古屋市で活躍する若年性認知症の山田真由美さんが登壇、鎌田さんと対話しました。7、 8年前、51歳の時にアルツハイマー病と診断されました。会話からは認知症とは思えないのですが、空間認識がだめで、靴の右左がわからず、1人だと着替えに4時間もかかるそうです。でも外に出たい。周囲に娘さんなど8人の応援団がいて外出を助けます。認知症を知ってもらいたいと月5、6 回は講演してます。鎌田先生は「山田さんのようにみんなが楽しい生き方を」と訴えました。
鎌田先生の司会で、考える会委員が参加者の質問に答えるコーナーもありました。親の介護にいらだつとの問いに、カウンセラーの別府明子委員は、気持ちを抑えるために深呼吸などで間を置く「6秒ルール」を紹介しました。また、夜にトイレに何度も起きるとの訴えに、看護師の西村かおる委員が「不眠はフレイルの第一歩。医師が勧めても、寝る前の水は控えるべきです」と強調したのも印象に残りました。