田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(274)べらぼうに高い携帯料金
かつての仲間と顔を合わせると決まったように「昔に比べて面白い新聞記事が減ったねえ」という話題になります。彼の記事は勉強になったな、と今でも尊敬する元記者はいいのですが、相づちを打つのをためらう相手もあります。今ほどではないにしろ政府や企業の発表記事専門の記者は昔も結構いましたから。
時々、面白いと思うのは外部筆者の寄稿です。9月11日付け『朝日新聞』のコラム「経済気象台」もその1つでした。「日本の携帯電話料金はOECD加盟国平均の2倍で高すぎる」との菅官房長官発言に賛同しての内容です。
海外によく出る筆者は、日本の携帯料金のバカ高さ、複雑な料金体系、解約の複雑さ、ホームページのわかりにくさなどの問題点を次々に指摘しています。そして訪れた欧州の辺境国では国内通話は1分5円、国際通話はどこでも1分20円、データ通信は月2000円程度、SIMフリー、契約体系はシンプルだったと例示しています。携帯会社や業界ジャーナリストたちは「日本の通信の質」の高さを強調しているらしいのですが、筆者は国際標準の価格や利便性で日本は大きく後れているとし、業界のガラケー体質を真っ向から批判しています。携帯会社はいくつかありますが、大手はどれも似たような価格です。それが諸外国に比べると異常に高い、というのだから驚きです。横並びが好きな日本人はもともと談合体質ですし、上同士のお友だち体質を考えると当然かも知れません。
仕事が少なくなり、年金中心の生活になってみて感じるのは生活コストの意外な高さです。携帯料金のほか、電気料金、都心と往復する交通費などです。
福島の原発事故も加わり電気料金も高い感じがします。私鉄沿線の交通費は地方に比べると安いのですが、普段の一番大きな支出です。これらは公的料金も国際的に見るとどうなのでしょうか。現役の時、日本人の給料は諸外国よりかなり高いが、住宅費や交通費などで回収されるから豊かでない、といった指摘があったことを思い出します。